ミニコラム 「温のこころ」
子どもの言葉
2022-09-26
もしも今、「尊敬する人は誰ですか?」と聞かれたら、私は迷わず「子どもたちです」と答えます。子どもたちを最も尊敬するところは、自分の周りのすべてを丸ごと受けとめ決して文句を言わないという事です。考えてみると子どものする事はもちろん、子どもが何気なく発した言葉さえ、文句を言ってしまいがちです。たとえば、子どもが熱いスープを飲んで「あつっ!」と言っただけで「フーフーしないからでしょ!」と言ってしまったり、寒い日の散歩中に、寒くなった子どもが「さむ~い」と言っただけで「どうして上着を着てこなかったの!」と言ったり・・・。
子どもは別にそれでどうしてほしいなんて、一言も言っていません。ただ熱いから「熱い」、寒いから「寒い」と言ったのです。転んで痛いから「いたーい」と言うと「痛くない!強い強い」と言われ、歩いて疲れたから「つかれた~」と言っただけで「え~っ」と言われ・・・。子どもは単に、感じた事や今の気持ちを言っただけで、認めてもらえるどころか否定されてばかりいます。
一方で、私たち大人は職場や友だちと過ごしている時「寒いねぇ」と言われたら「本当ねぇ」と返しますよね。コーヒー飲んで「熱ッ!」と言うと「やけどしなかった?」と声を掛けられます。「ちゃんと冷まさないからでしょ」なんて言われませんよね。園庭で子どもたちと遊んでいてこける時もあるのですが「大丈夫?」と声を掛けてもらいます。
子どもにいつも優しい言葉を!と言っているのではありません。ただ認めるだけでいいのです。「本当だね。」「大丈夫?」の一言でいいと思います。 子どもの顔にも心の中にも、ニコニコ笑顔が出てきます。
お互いに丸ごと認め合う中から育っていくような気がします。違いこそが大切で素晴らしい。自分だけの虹色の個性を認めあいながら子どもたちと「自分色」を探していき「子どもの言葉」を大事にしていきたいと思います。
