本文へ移動

ミニコラム 「橋のこころ」

『わたしとあそんで』

2023-03-06
今日は暦の上では啓蟄、冬の間、土の中で眠っていたいきものたちが春を感じて出てくる季節です。
キッズホールの水槽にいるガマガエルのがまくんも、心なしか元気そうに見える気がします。きっと春を感じているのでしょうね。

『わたしとあそんで』
マリー・ホール・エッツぶん/え よだ・じゅんいち やく 福音館書店 1968年出版
『もりのなか』『海のおばけオーリー』などでおなじみのマリー・ホール・エッツの絵本です。

はらっぱにあそびにいった「わたし」は、1ぴきのばったが、むちゅうであさごはんをたべているのをみつけました。
「ばったさん、あそびましょ。」
つかまえようとすると、ばったはぴょんとにげてしまいました。

ばったのつぎにはかえるがやってきます。
「かえるさん、あそびましょ。」
つかまえようとすると、やっぱりかえるもにげてしまいました。

かえるのつぎには かめが、かめのつぎには りすがやってくるのですが、つかまえようとするとやっぱりにげていってしまいます。

だれもあそんでくれないので、「わたし」は いけのそばにこしをおろしました。
そのまましずかに おとをたてずにすわっていると、こんどはさっきにげてしまった ばったがもどってきました。

やがて、ばったのつぎには かえるが、かえるのつぎには かめが、
いきものたちがつぎつぎにもどってきたのです。

--
ああ わたしは いま、とっても うれしいの。
とびきり、うれしいの。
なぜって、みんなが みんなが わたしと あそんでくれるんですもの。
--
春の穏やかな陽差しのような淡い黄色の表紙に描かれた「わたし」
その表情はとても静かです。
なにもしないで自然の中に、ただじっとしていること。
つかまえようとしたらにげてしまうけど、じっとしずかにそこにいると、いきものたちがあつまってきてくれる。

何かを待ってみること、ただそこにいること。そんな季節の感じ方をわたしもしてみたいと感じた絵本です。