ミニコラム 「橋のこころ」
『さんぽのしるし』
2023-04-21
『さんぽのしるし』
五味太郎 福音館書店 1986年出版
うさぎのしるしのついた うさぎさんのうちから、うさぎさんがさんぽにでかけます。
あるいていくと、いろんなしるしがでてきます。
「あるいていこう」というしるし。
「かいだん」のしるし。
「もっとさきへあるいていこう」のしるし。
子どもたちといっしょに絵本をよむとき、わたしたちおとなはつい書かれている文字だけを追ってしまい、ときにページをめくる速度がはやくなってしまうことがあります。
でも実は、子どもたちは絵本のことばを聞きながら、絵本の絵をじっくりと楽しんでいます。
こどもたちの視線の先をみながら、いっしょに絵をよく見てみると、この絵本もいろんな発見があります。
うさぎさんの足元に咲いている白い花。
道の向こうをゆく車。
海に浮かぶ船で、つりをしているだれか。
ページに描かれたそうしたいろいろなものに気づくのも、絵本のおもしろさがありますね。
そしてさらに。
表紙をよく見てみると、そこのしるしは、なんともふしぎなかたちをしています。
これはいったいなんのしるしだろう。
いやいや、そもそも しるしってなあに?どうしてあるの?
だれかが描いたの?
うさぎさんにしか見えてないのかな?それとも?
ページをよく見るからこそ、こうした不思議な絵本の味わいを感じることもあります。
おとなにとっても、こどもにとっても、絵本っておもしろいものですね。
