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ミニコラム 「橋のこころ」

こどもと絵本を楽しむことは

2023-05-06
「母の友」のコラムに、はっとした文章がありましたのでご紹介したいと思います。

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”「あー、おもしろかった!」絵本を読み終わって、子どもたちがいう。でも、絵本は一冊ずつどれも違う。ということは、子どもたちのその一言の後ろ側にも、いろいろな気持ちが隠れているのではないだろうか。”

”もっと心の深いところで、なにか気持ちが動いたのかもしれない。ただ、幼い子どもたちは、そのような自分の気持ちを、ぴたりと言い表す言葉をまだ持っていない。”

”子どもはそれほど頻繁に「おもしろかった」という言葉を発しているわけではない。一冊を読み終え、満足げに「ふむ」と鼻を鳴らすか、あるいは、目立った反応を見せないことも多い。でも、それでいいのだ。子どもの心に、何かが残ったかもしれない。そして、いつかはそれが芽を出すかもしれないな……?と思うくらいで十分だ。”

”おとなが絵本を楽しむコツがあるとしたら、声に出して読むとき、普段の会話より少しゆっくり、息を深くすることだろうか。そうすると、不思議と心が落ち着いてくる。そうやって、おとながくつろいで一緒に絵本を楽しんでくれたら、それは子どもにとって、とてもうれしいことだ。”

「母の友5月号」2023年5月1日発行 福音館書店
「絵本は、おもしろい?」護得えみ子 より一部引用
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わたし自身もこどもたちと絵本を読むとき、ついつい先まわりして「おもしろかったかな」とか「意味がちゃんと伝わったかな」とか、そういったことを気にしてしまうことがあります。
でも、子どもたちと絵本を楽しむときには、そんな先まわりは必要ないのだと改めて気づかされます。

一冊の絵本、そこにある世界と出会うこどもたち。
そこにはその子だけの心の動きがあるのだと思います。
そのまっさらな心に目を凝らし、声にならないことばに耳を澄ませることができたら。

絵本は世界の入り口です。
新しい世界とであう子どもたちのこころをじゃましたりしないように、静かにでも驚きと感動をもって見守っていけたら。
できることならそんなふうに子どもたちと絵本を読みたいと願います。