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ミニコラム 「橋のこころ」

『あ』

2023-05-26
絵本のろうかのコーナーに、ちょっとふしぎな絵本をあつめてみました。
シュール絵本やナンセンス絵本とよばれることもあるのですが、ここでは読んだときに「あれ?どういうこと?」「ん?」という感想をもたれることのある少し風変わりともいえる絵本をあつめてみましたので、その中から一冊をご紹介します。

『あ』大槻あかね 福音館書店 2005年
タイトルとシンプルな色合いの表紙から、はやくもふしぎな雰囲気を感じます。

はりがねでできたようなヒト。
棒人間のようなそっけなさなのなかに、どこか愛嬌があります。
そんなふしぎなヒトが、どこかへ向かって走っています。

そんなヒトの前にあるのは、コップやポット、耳かきのといった日常的なものたち。
四角くふちどられたページに描かれているのは、そんな写真絵本らしい実物感・現実感のある空間で、ひょこひょこと動くヒトの様子。

いつもの生活でよく見るもののはずなのに、ページのなかではどこかがふしぎで違う。まるで異世界へのとびらがほんの少しだけひらいているかのような気持ちになります。
ヒトやものから長くのびた影までが、計算されたように、その「すこしふしぎ」を楽しく感じさせてくれます。

有名な「Don't think. Feel!」ということばのとおり「考えるな、感じろ!」という気持ちで手にとっていただきたい一冊です。