ミニコラム 「橋のこころ」
『あめがふるとちょうちょうはどこへ』
2023-07-22
ある日とおりすがりに、さくらぐみのRさんが「おおきなかえるをつかまえたよ」と声をかけてくれました。
「みせてみせて」とついていくと、そこには、なんともみずみずしいおおきなかえるがいっぴき。
「おおきいねー」とながめていると、今度はKさんが「バッタもつかまえた」とむしかごをみせてくれました。
そして先日、園庭でおおきなトンボをつかまえたRさん。
翅をそっとおさえ、手足をじっとみつめているその仕草には、トンボをできるだけ傷つけないようにというRさんの優しさがありました。
子どもたちのまわりにはそんなたくさんの小さないのちがあって、そのいのちとともに、こどもたちの日々はあるのだと感じます。
『あめがふるときちょうちょうはどこへ』
M・ゲアリック=文/L・ワイスガード=絵/岡部うた子=訳
金の星社 1974年出版
けぶるような雨が降る自然やいきものたちが、版画の手法を用いて描かれた静かな絵本です。
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あめ、あめ、あめ、あめ。
あめが ふるとき
ちょうちょうは どこへ
ゆくのかしら
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こどもたちは、すぐそばにいる自然やいきものを、あるがままに受け止め、ともにいきています。
だからこそ、なぜ?やどうして?と、そのふしぎさをみつけ、問いとして感じることができるのかもしれません。
あめがふるとき、ちょうちょはどこへいくのだろう。
自分だけの問い、そして仮説をたて、こたえを見つけていくこどもたち。
わたしたちは、こどもたちがそんな問いをもったとき、その問いのこたえだけをおしえるのではなく、いっしょにそのふしぎを感じて、ともに雨の中でちょうちょうをさがす。
そんな存在であれたらと願います。