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ミニコラム 「橋のこころ」

『おやすみなさい』

2023-12-01
12月、しんと凍えるような夜がその暗闇を深くしていくように感じる季節となりました。
そんな夜にご家族でそっと開いていただきたい絵本をご紹介します。

『おやすみなさい』
ぶん ヴィルジニー・アラジディ カロリーヌ・ペリシュ
え エマニュエル・チュクリエール
やく カヒミ カリィ
アノニマ・スタジオ 2014年出版


夜の闇と月の光のなかに、ほんのりと浮かび上がる樹々のかげたち。
それぞれ違う形を持った枝や葉っぱをゆらしながら、樹々たちは光も闇も受け止めるように、ただそこに佇んでいるようです。

そんな夜の中、心細さを感じるような暗闇に息づいているのは、確かな鼓動を持ついきものたちです。

ーー
おおきな しぜんの ちいさな といき
きの におい、はっぱの におい、
つちの におい。

そして、わたしの そばに
ぴったりと くっついている、
あなたの とっても いい におい。


おかあさんは あなたの そばに いますよ。
たいようが しずんで、そして また のぼるまで。
あなたが ねむっている あいだじゅう、
ずーっと そばにね。
だって、あなたは わたしの たからもの。

ーー
ひそやかな美しいことばたち。
それは、大切なだれかにだけ向けられることばです。
それぞれのいきものたちが、大切な誰かを守りながら、まっすぐ夜の空をみつめてささやきます。
「おやすみなさい」

そんなふうに、夜がずっと穏やかで優しいものでありますように。