ミニコラム 「橋のこころ」
スイミーと出会う
2022-08-15
いま、キッズホールには3歳児さんがつくった大きなおさかな、スイミーが泳いでいます。
『スイミー』はレオ=レオニの絵本です。
教科書にも載った作品でご存じの方も多いのではないかと思います。
小さな魚のスイミーは、ある日おそろしい大きな魚に襲われ仲間を失ってしまいます。
かなしくてさみしくて、くらい海の底を泳いでいたスイミーは、やがて出会う仲間の魚たちを率いて、大きな魚に立ち向かいます。
かなしくてさみしくて、くらい海の底を泳いでいたスイミーは、やがて出会う仲間の魚たちを率いて、大きな魚に立ち向かいます。
そんなスイミーの姿から、みんなで知恵を出し合い、協力することの大切さを感じることができます。
大人になってこの絵本を読み返したとき、以前は気がつかなかった別の大切なメッセージに気づきました。
仲間を失い悲しい気持ちで海の底を泳いでいくスイミーは、その中でさまざまな素敵なものに出会ったのです。
にじいろのゼリーのようなくらげや、ブルドーザーみたいないせえび、こんぶやわかめの林などです。
そんな面白いものを見ているうちにスイミーは少しずつ元気を取り戻し、やがて、共に立ち向かえる仲間と出会うことができました。
それらのものはもしかしたら、スイミーが海の底を泳いでいかなければ出会えなかったものかもしれません。
悲しいことや辛いことがあったとしても、それはちゃんと嬉しいことや大切なこと、美しいものにつながっている。
暗い海の底にもきっと、面白いこと美しいものがある。
『スイミー』の絵本からは、そんな温かくも力強いメッセージを受け取ることができるのです。
ノンフィクション作家・柳田邦男氏は「人生で大事なことは絵本から学んだ」と言っています。
絵本の読み方に、正解や間違いはありません。
小さい頃に読んだ絵本が、今度は違うメッセージを聴かせてくれることがきっとあると思います。
